材料を変えて比較をしてみましょう。
断熱材を配置すると、冬の熱損失、夏の熱取得が大幅に削減されます。
また、室内表面温度が冬季は高く、夏季は低く保たれるので、熱的に快適です。
冬季は表面温度が高くなるので、結露しにくくなります。
熱容量の大きな壁体、たとえば、コンクリートなどを室内側に配置すると、蓄熱体として利用でき、室温の変動が小さくなります。
冬場において、断熱材を十分に設定していても、蓄熱体の熱容量が大きければ、低温で安定してしまい、少なければ、夜間の室温低下と日中オーバーヒートしてしまいます。
このように、材料、厚さ、日射吸収率など適切に考慮する必要があります。
基本モデル
壁 |
石膏ボード 12mm
コンクリート 180mm
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天井 |
石膏ボード 12mm
コンクリート 180mm
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床 |
合板 12mm
モルタル 30mm
コンクリート 180mm
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ケース1 (室外側に断熱材)
壁 |
コンクリート180mm
押出発泡ポリスチレンフォーム45mm
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天井 |
コンクリート180mm
押出発泡ポリスチレンフォーム45mm
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床 |
合板12mm
コンクリート180mm
押出発泡ポリスチレンフォーム45mm
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壁、天井、床の材料の並びは室内側から室外側の順です。
結果の比較
基本モデル --- 2月
断熱材なし(冬)
- 最高室温 15.76℃
- 平均室温 9.39℃
- 最低室温 5.81℃
ケース1 --- 2月
室外側に断熱材を配置(冬)
- 最高室温 16.62℃
- 平均室温 12.35℃
- 最低室温 10.18℃
基本モデル --- 8月
断熱材なし(夏)
- 最高室温 33.84℃
- 平均室温 29.34℃
- 最低室温 26.49℃
ケース1 --- 8月
室外側に断熱材を配置(夏)
- 最高室温 33.87℃
- 平均室温 31.04℃
- 最低室温 29.46℃
緑の線:室温、黒の線:外気温
計算結果
冬の場合を比較すると、室外側に断熱材を配置した [ ケース1 ] のほうが、温度変動が小さくなっていることがわかります。また、平均室温も上がっています。
夏の場合を比較すると、温度変動は小さくなっていますが、高温で安定しています。このモデルのように、集熱面(南側)に大きな開口部を設けた場合、日よけや換気などの対策をする必要があります。
次のページでは、断熱材を配置した [ ケース1 ] を用いて、夜間換気を検討しています。
共通計算条件
建物形状 |
幅12(m), 奥行き6(m), 高さ2.6(m), 方位0(°)
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開口部 |
南 幅8.0(m), 高さ2.3(m), 腰壁高さ0.0(m), 左からの位置0.25(m)
東 幅6.5(m), 高さ2.3(m), 腰壁高さ0.0(m), 左からの位置0.25(m)
西 幅6.5(m), 高さ2.3(m), 腰壁高さ0.0(m), 左からの位置0.25(m)
北 幅6.5(m), 高さ2.3(m), 腰壁高さ0.0(m), 左からの位置0.25(m)
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日射吸収率 |
[室内側] 0.4, [室外側] 0.6 [天井室外側] 0.2
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ガラス |
熱貫流率5.16(kcal/hm2℃), 日射透過率 0.856, 日射透過係数100(%)
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気象データ |
東京 緯度 35.7(°), 経度139.8(°)
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